ルクセンブルクと日本が拓く宇宙の未来：スペースミッション最前線から

左から順に、Mugen Links共同創業者・木下京子、合同会社げんてんCEO兼創業者・マルセル・ラシンガー、ルクセンブルク商工会議所 国際部 ジュニアアドバイザー・アデライド・オフセス

Mugen Linksは、革新的なコミュニティ同士を大陸を越えてつなぐことを使命としています。このたび、ルクセンブルク商工会議所が主導し、合同会社げんてんとの連携のもとで実施された日本へのスペース・トレードミッションに参加し、その想いを実現する貴重な機会となりました。本ミッションでは、ルクセンブルクの宇宙関連企業が日本を訪問し、日本の宇宙産業、研究機関、そして意欲的な中小企業との交流を深めることができました。プログラムの一環として、Mugen Linksと合同会社げんてんが共催したB2Bセッションも開催され、双方にとって刺激的な対話の場が生まれました。

今回の交流は、単なる形式的なミーティングではありませんでした。宇宙産業で国際的な影響力を持つ両国が、互いに学び合うことができるまたとない機会だったのです。ルクセンブルクは今や欧州のNewSpace（次世代宇宙産業）の中心地として知られており、先進的な衛星運用から月面探査まで、100を超える組織が多様な分野で活躍しています。同国では、宇宙資源の所有や活用を可能にする法制度が整備されており、これが世界中の起業家や研究者、優秀な人材を惹きつけています。ルクセンブルク宇宙庁（LSA）や欧州宇宙資源イノベーションセンター（ESRIC）といった機関の支援もあり、国際的な連携や意欲的なプロジェクトが次々と生まれています。

地球を周回する人工衛星

一方、日本にはJAXA（宇宙航空研究開発機構）をはじめとする世界的に評価の高い機関が存在し、長年にわたり宇宙開発を支えてきました。また、NEC、三菱電機、トヨタといった大手企業が、衛星インフラやロボティクス、惑星移動技術などの分野で独自の技術を提供しています。さらに、Astroscaleによるスペースデブリ除去の取り組みや、ispaceによる月面探査など、次世代のスタートアップが次々と新たな挑戦に乗り出しています。 今回のスペースミッションでは、ルクセンブルクの起業支援制度や法整備、日本のスタートアップが切り拓く新分野などについて、率直で深い対話が自然と生まれました。ルクセンブルクの参加者は、日本の商業化戦略や産業界との連携の手法に多くの示唆を得ることができました。一方で日本側にとっては、ヨーロッパ市場への足がかりとして、ルクセンブルクの政策や支援制度の理解が進む貴重な機会となりました。

ルクセンブルク商工会議所 スペースミッション B2Bミーティングの様子

形式的な挨拶にとどまらず、新たな研究テーマの模索や、技術実証の場の可能性、さらには将来的なパートナーシップの芽生えなど、実際に多くの“次”につながる種が見つかる場となりました。両国が共有する関心領域として、「持続可能な資源利用」や「地球観測」などの

ルクセンブルク商工会議所 スペースミッション B2Bミーティングの様子

技術課題だけでなく、「実験的な姿勢」や「信頼を土台にした協働文化」といった価値観も浮き彫りになりました。

なによりも印象深かったのは、このミッションを「ゴール」ではなく「スタート」と捉える姿勢でした。参加者の多くが「最も価値があったのは、率直に語り合えるネットワーキングだった」と口を揃えました。新たな仲間との出会い、自分自身の思い込みへの挑戦、そして、こうした場がなければ生まれなかった未来の構想。それらはすべて、真の国際交流からこそ生まれるものです。

これからも、ルクセンブルクと日本のこうしたスペースミッションは、国を越えたつながりがどれほどグローバルなイノベーションを加速させるかを示す、強い証となるはずです。Mugen Linksは今後も、国境や文化の壁を越え、挑戦する人々をつなぐ“橋”として、新たなフロンティアをともに拓いていきます。宇宙の未来はコラボレーションの先にあります。そして、心からつながり合うことができたとき、まだ見ぬ可能性が大きく広がっていきます。