グローバル包装業界における革新とサステナビリティ:KRONUSインタビュー
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- 9月16日
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KRONUS(クロヌス)は、木製パッケージ、スチール部品、園芸・DIY製品など幅広い分野で、革新的かつ持続可能なソリューションを提供するヨーロッパの企業です。 世界60か国以上で事業を展開し、品質・カスタマイズ性・環境配慮を兼ね備えた製品で高い評価を得ています。今回、エアロマート名古屋を前に、KRONUSチームにお話を伺いました。航空宇宙分野向けの特殊パッケージから、日常に役立つモジュール型システムまで、同社のイノベーションやデジタル化、グローバルなパートナーシップへの取り組みを語っていただきました。

エアロマート名古屋は航空宇宙サプライチェーンの主要な展示会ですが、今回の出展に込めた思いと、どのような機会を期待されていますか?
ビビタ:エアロマート名古屋は航空宇宙サプライチェーンにおける代表的なプラットフォームのひとつであり、私たちの包装・物流分野での専門性を発信する絶好の場だと考えています。 航空宇宙産業は、安全性・精密性・コンプライアンスが何より重要で、これはまさに私たちが大切にしている価値観と一致します。
今回の目的は大きく二つあります。ひとつは、持続可能でカスタマイズ可能な包装ソリューションが航空宇宙メーカーのニーズにどう貢献できるかを示すこと。もうひとつは、日本やアジア太平洋地域の業界リーダーから直接学び、交流することです。ここで得られる出会いや知見は、今後のパートナーシップや新しい機会の創出につながると期待しています。
アジア太平洋地域でのパートナーシップ構築について、どのように考えていますか?
ビビタ:私たちにとってパートナーシップとは、信頼と長期的な協力関係を築くことに他なりません。アジア太平洋市場では、効率性・規制遵守・持続可能性を重視する航空宇宙関連企業、サプライヤー、物流パートナーとのつながりを目指しています。
エアロマートで私たちが提示するのは単なる製品ではなく「共創の哲学」です。現地パートナーと密接に連携し、この地域特有の課題に合わせたオーダーメイドの解決策を共に作り上げていきたいと考えています。

航空宇宙向けの包装には特有の難しさがありますが、御社ではどのように対応されていますか?
ビビタ:航空宇宙分野の包装には、大きく4つの要件があります。
複数の輸送モードを経ても損傷を防ぐこと
トレーサビリティやシリアル管理を担保すること
認証された安定した品質と持続可能性を両立させること
リバースロジスティクス(回収・再利用)が可能であること
そこで私たちが提案しているのが、パレットと蓋を組み合わせて頑丈で再利用可能なパレットボックスを構成するモジュール型パレットコーラーシステムです。高さ調整が可能で、仕切りやドア、ラベルホルダーなどの付属品を組み合わせることで、敏感な部品の保護と仕分けが可能になります。
さらに、RFID対応パレットにより部品や包装資材のシリアル管理と可視化を実現。折りたたみ式のEUR認証パレットコーラーは標準化されており、繰り返し使用できるうえ、空輸送時の容積を減らすことでサステナブルな循環型システムを実現できます。
実際の事例としては、ヨーロッパの自動車大手企業に対し、RFID対応パレットを導入し、輸送・保管における高価な部品の追跡を透明化しました。また、アジアの自動車メーカー向けには、パレットコーラー、パレット、蓋を組み合わせたパッケージプールを構築。8か月のプロジェクトで60万ユニットを展開し、複数工場間で回転利用・修理可能な仕組みを導入しました。こうした実績は、航空宇宙産業にも応用できると考えています。
最近特に誇りに思うイノベーションについて教えてください。
ビビタ:近年は市場での地位確立やプロセス改善に注力してきましたが、その中でも重要な成果があります。KRONUSは世界で初めて、EURおよびÖBBの認証を受けたEUR認証パレットコーラーの製造を開始しました。これは品質と再利用性の新たな基準を打ち立てるものであり、業界リーダーとしての立場をさらに強化するものです。 この認証により、ユーザーは安定した品質の包装材を利用できるだけでなく、再利用や再販の可能性も広がり、コスト削減やCO₂排出削減にも貢献できます。

デジタル化と自動化が今後の成長戦略の中心にあると伺いました。どのように役立っていますか?
ビビタ: デジタル化は不可欠です。スマート製造システムにより、生産状況をリアルタイムで監視し、予防保全を行い、精度を確保できます。デジタル設計ツールを活用すれば、迅速なカスタマイズも可能になり、データ駆動の計画により効率化や廃棄削減にもつながります。
自動化は一貫性とスピードを実現しますが、そこに専門チームの技術力を掛け合わせることで、きめ細やかなカスタマイズと最高水準の品質を両立できています。このバランスこそが、KRONUSの強みだと考えています。
顧客からのフィードバックは御社の戦略にも影響しているのでしょうか?
ビビタ:はい。特にコロナ禍以降、顧客の在庫管理やサプライチェーンの考え方が大きく変化しました。多くの業界で、包装在庫を小さく保ち、倉庫を効率化し、ジャストインタイム納品を求める傾向が強まっています。
これにより、従来の生産サイクルでは対応が難しくなり、小規模かつ不定期な注文に迅速に応える体制へシフトする必要が出てきました。包装は少量輸送が非効率であるため、物流面でも課題がありますが、私たちは新しい配送チャネルを開発し、顧客が求める製品を競争力ある価格でタイムリーに提供できるよう取り組んでいます。

今後、木製パッケージやスチール製品を超えてどのような展開をお考えですか?
ビビタ: 木製の産業用パッケージ(パレットコーラー、パレット、蓋、付属品を組み合わせたソリューション)は引き続き当社の中核事業です。今後導入される規制(EUDRやPPWRなど)に対しても、トレーサブルで環境負荷が少なく、耐久性が高い再利用可能なパッケージを提供できるのが私たちの強みです。
同時に、より軽量でISPM規制への対応が容易な加工木材パッケージや、近年注目されている繊維系素材の使い捨て包装など、新しい分野にも挑戦しています。
そして何より重要なのは、製品そのもの以上に「サービス」を提供することだと考えています。たとえば、循環型の包装回収システム、パッケージのプーリングサービス、フルフィルメントを含む複雑な供給網対応などです。今後はこうした付加価値のあるサービスを強化し、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供していきたいと思います。




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